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ラテン文学の黄金期の中でも、とりわけカエサルの文章は、キケローの文章とともに、格調が高く、ラテン語の模範的な文章とされています。特に、カエサルの『ガリア戦記』は、中級者向けのラテン語教材に最適であるといわれます。
この『ガリア戦記』が読めるようになると、ラテン語学習者は、自ら「ラテン語ができる」と胸を張ってよいことになっています。つまり、これを読みあげれば中級は卒業で、晴れて上級に進むことができます。要するに、ラテン語が「できる」かどうかの分水嶺は、『ガリア戦記』にあります。
とはいえ、この『ガリア戦記』は、一種の「雅語」で書かれており、しかも、カエサル特有の気取った言い回しなども随所に用いられていますので、文法の学習を一通り終えた「初級修了レヴェル」でも、これを読んでいくのは相当に骨の折れる作業です。しかし、「中級者レヴェル」に到達するには、ぜひともこの『ガリア戦記』を読みこなせるようにならなければなりません。
もちろん、邦訳は出ているのですが、邦訳はあくまで日本語として楽しむための翻訳であり、解説書ではありませんから、「どうしてこういう訳になったのか?」という中級者の一番気になる点については、ほとんど説明がありません。この、中級者の一番気になる点を満足に解説した解説書は、日本語に関する限り、見当たりません。
これに対し、私の住んでいるドイツには、中級者向けのガリア戦記の解説書がいくつかあります。そこで、これらを利用しながら、この点の解説を行うことによって、ラテン語中級に足を踏み入れたところから中級修了レヴェルまで、自らラテン語力を引き上げたいと思っている方々に対して、そのお手伝いをさせていただこう、というのが、この中級編の趣旨です。
したがって、この中級編においては、もっぱら、ラテン文法の勉強を一通り終えた中級者にターゲットを絞った解説を行っております。すなわち、文法事項の解説を行うのではなく、既習の文法知識を活用していかに文を分析するか、という点に焦点を絞って解説を行っています。このため、ラテン語中級者にとっては、本書の解説は分かりやすく、しかも簡潔だと感じるはずです。
すべての解説は、「訳文を通じて原文を理解するのではなく、原文を原文として理解する」という一貫したポリシーに基いて行っております。これは、「原文を原文として理解する」ことこそが、語学を最も効率的に身につける方法であり、実践に堪えうる語学力を身につける唯一の方法である、という筆者の信念に基くものです。
また、著者の豊富なヨーロッパ言語の知識を生かして、他のヨーロッパ言語との比較を活用した解説を随所に採り入れております。他のヨーロッパ言語の知識をお持ちの方には、さらなる知的興奮を味わっていただけることでしょうし、そうでない方々にとっては、他のヨーロッパ言語に対する興味が一層掻き立てられることと存じます。
なお、この中級編の第1段から第9段までは、こちらのウェブサイトに無料で公開しております。まずはそちらをじっくりとご覧の上、そのポリシーとクオリティに十分納得いただいた場合にのみ、続きをお買い求めいただきますよう、よろしくお願いいたします。